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◇大辺路消防組合消防本部◇(和歌山)

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大辺路消防組合は、すさみ町(人口六、三九三人)と日置川町一人口五、六三一人)の二町で構成され、和歌山県南部に位置し、東は串本町・古座川町に、西は白浜町に、北は上富田町・大塔村に接し南は太平洋に面している。
管内面積は三一一・〇二?q2で、その九〇%以上が山林である。両町とも人口、面積等の管内特性が酷似しており、林業と漁業が盛んな町である。
また、県立公園に指定されている海岸線は、「枯木海」(潮風が強く草木が育たないことから)と呼ばれ、リアス式海岸独特の断崖絶壁が延々約四〇?qにもおよんでいる。ここは好釣場として、太公望の姿が絶えない。
消防本部は、昭和四九年四月発足、一本部二署、三八名の職員が両町の消防団員二九〇名とともに地域防災の任に当たっている。
なお、??おおへじ?≠フ名称は、??蟻の熊野詣?≠ニして知られるこの海辺ルートを古来より「大辺路街道」と呼び親しまれているところに由来しているとのことである。
♪広域応援体制への取り組み去る三月一日、県内五〇市町村
及び八消防組合による「消防広域相互応援協定」が締結されたが、これに先駆け、当本部では、昨年一〇月に南紀白浜空港に発足した”県防災ヘリコプター”の救助員として職員一名を派遣しており、広域応援体制の確立に積極的に取り組んでいる。
また、先の「阪神大震災」にも一月一八日から二一日にかけて、延べ一六名の職員を派遣し、応援活動に当たった。当本部では、この震災における教訓を踏まえ、消防水利の整備一防火水槽の新設等一、自主防災組織の充実、住民の防災意識の高揚等を図っている。
さらに、複雑多様化する災害事象に対応するため、平成五年度には救助工作車を導入、来年度には高規格救急車の導入を計画しており、これらハード面の整備に併せ、平成二年から四年にかけての七名の人員増、また、現在、救急救命士の養成にも取り組んでいる。
♪積極的な広報活動を展開!
当本部では、毎年、火災期に入る一二月〜三月にかけて、消防団員との連携のもと、車両による巡回広報を実施し、住民に「火の用心」を呼びかけている。
また、昭和四八年、本部発足に先駆け結成された婦人消防隊(遠洋漁業に出掛ける男性に代わり、留守を預かる女性により組織)は、現在、すさみ町五〇名、日置川町三〇名により組織されており、「自分達の町は自分達で守る」をモットーに日頃の「火の用心」の町内巡回はもとより、毎月一回、可搬ポンプの点検と併せ実戦的な訓練を実施しており、有事に備え万全を期している。
さらに、秋の火災予防運動ではすさみ町幼年消防クラブ員五〇名が揃いのハッピに身を包み、「火の用心のうた」に合わせ、拍子木を鳴らし、管内を巡回している。この可愛いチビッ子の広報は、住民から大変好評を博しており、火災予防に一役かっている。
ここ数年、管内における年間火災件数が漸減傾向にあるのも、これら広報活動による成果と住民一人ひとりに防火・防災意識が浸透しているためであろう。
♪職員の人事交流と育成!
当本部では、職員の高齢化対策の一環として可部局との人事交流を行い、職員の若返りを図っている。現在、職員の平均年齢は三四歳と全国平均よりも約四歳も若い。
また、中井消防長は「『和』を大切に、そして『オールマイティーな職員の育成』を目指している」と語られたが、事務室内の家庭的な雰囲気の中にも活気が漂っており、消防長を中心に職員、消防団、町そして住民が一体となって地域防災に積極的に取り組んでいる姿勢が窺われた。(鈴木浩永)

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